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ignore your perspective 39

Press Release

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ご案内

関係各位

拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
 児玉画廊(白金)では10月28日(土)より11月25日(土)まで、ignore your perspective 39「気になる話」を下記の通り開催する運びとなりました。赤星周、糸川ゆりえ、中川トラヲの3名を取り上げ、彼らの絵画の中にあるストーリーとナラティヴ、そして、それらが沸々と湧き上がってくる事の次第を作品から読み解き、作家の内面的な現象としてだけでなく、作品を前にした鑑賞者にも共感/共鳴させるための展覧会です。
 
赤星周(初紹介)
もし、絵画に命が宿るとするならば。そこには時間と存在の交錯する物語があって、その一場面を通りすがりの車窓から目にするようなことが絵画を鑑賞するということです。赤星の絵画は、重層的に、そして有機的な増殖をもってフレームから外へ向けて侵食していくように作られています。イメージというよりは何か感情に語りかけてくるナラティヴと評するべき生きた物語性を感じさせます。古来、絵画の持つ役割の一端として伝承や神話の語り手となることがありますが、そういった役割において絵画は、単に登場人物の姿形のイメージではなく、その背景に流れる物語を鑑賞者に向けて語らうべくして描かれてきました。赤星の作品もまた、そこに描き出されるものは時間の静止したイメージではなく、「痕跡」と作家が表現するように、身体的な動きの残したもの、描き重ねていく中で変化していったものの残滓、そういったタイムライン、あるいは感情の起伏線のような生きた「痕跡」を表現しているのです。

糸川ゆりえ
日々の手記や記憶、寝覚めに覚えている夢の感覚、それらを原点として描かれる作品は、どこかまどろみの中に漂うようで、光と形が渾然となり定まった形を一向に捉えさせない不思議な情景を映し出しています。現実感のない景色の中に一人ないしは二人、静かに描かれる人物は姿形も朧げな影のようで、体を中空に預けて横たわったり伸びやかに佇んでいるようです。透明色や銀色の絵具を多用しながら、光を画面の中に取り込み、あるいは跳ね返して、ホログラムのように移ろう画面は幻想的です。元になっている個人的な体験や夢の仔細は実際の通りに語られることはなくとも、語る口の端から消えていく物語のように儚い幻想をキャンバスに留めています。

中川トラヲ
柔らかな線、色彩が溢れかえる幻視的世界観を感じさせる画面が特徴的です。作品背景に具象性や物語性を強く思わせる内容とは裏腹に、線の偶発的な重なり、色彩の重層的な組み合わせ、企図されずに筆を動かした結果として、偶然の中から発見されるようにして描かれます。中川の作品は、目で見て脳が何かを認識するその前の状況、つまり、知覚できないものを捉える試みです。そのためには、初めからこうなると分かった上で描くのではなく、いつの間にか描き上がっている、という状況を作り出さねばなりません。例えば、壁の染みがお化けに見える現象のように、意図していないのに特定のイメージが浮かび上がってしまう状況、そして、それに感覚が引き込まれて感情が揺り動かされる状況、そういった体験を鑑賞者にも製作者である中川自身にも与えることのできる絵画であろうとしています。結果として中川の意識を蚊帳の外に置いたまま出来上がった絵画がまずあって、それを中川自身も含めた鑑賞者が見て感じる特定のイメージや寓話性を絵画の中へ逆流させるのです。それを更に強めるかのように、作品の印象を左右する作品タイトルですら、あらかじめ用意された語彙リストの中から数語を選んで組み合わせることで絵画そのものと無縁とも思える名付けがなされ、それにより鑑賞者は思考を促され中川の作品の中に独自の物語を紡ぐ糸口にもなっているのです。

つきましては、本状をご覧の上展覧会をご高覧賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

敬具
2017年10月
児玉画廊 小林 健




記:

展覧会名:

イグノア・ユア・パースペクティブ38「気になる話」

出展作家:

赤星周 / 糸川ゆりえ / 中川トラヲ

会期: 10月28日(土)より11月25日(土)まで
営業時間: 11時-19時 日・月・祝休廊
オープニング: 10月28日(土)午後6時より


お問い合わせは下記まで

児玉画廊
〒108-0072 東京都港区白金3-1-15
T: 03-5449-1559 F: 03-5421-7002
e-mail: info@KodamaGallery.com 
URL: www.KodamaGallery.com


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