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ignore your perspective 28

Press Release

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ご案内

関係各位

拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
 児玉画廊|東京では5月30日(土)より7月4日(土)まで、ignore your perspective 30「CHAIN REACTION」を下記の通り開催する運びとなりました。今回は、大谷透、中川トラヲ、中村奈緒子、益永梢子(初紹介)の4名の作家を、「連鎖反応」というコンセプトに沿ってご紹介致します。

 大谷透は、商品パッケージやロゴマークなど既成のイメージに対して、線や塗りを施して改変する事によって新しい別のイメージへとすり替えていきます。絵画的アプローチからインスタレーションまで、そのアウトプットは多様性に富んでいます。児玉画廊での初出となった、ignore your perspective 26「モノの流用、イメージの引用、その次」(2014年、児玉画廊|東京)においては、主に「イメージを引用する」という観点からの紹介をしましたが、今回は「イメージの引用」を作品制作における一つの源泉と捉えて、引用元から最終的な作品までの間にあるイメージの大きな変容が如何にして醸成されるのか浮かび上がらせる事ができればと思います。

 中川トラヲは、プロセスに依存する絵画、或は絵画上のイメージは自然発生的に発現する、という態度で常にペインティングの新たな可能性を探作家です。ある時は木目に誘発されて線描が導き出され、或は偶然キャンバスに着いた絵具の飛沫から増殖するように色面構成が派生していく、という今回の作家陣の中でも特に「連鎖反応」と呼ぶに相応しい制作プロセスを辿ります。前述の大谷が既に特定の意味を持ったイメージからの脱構築とするなら、中川は徹底して抽象概念の中に留まったままイメージだけを連鎖させていきます。その結果として、見る側の捉え方次第で心象風景の様でもあり人物描写の様でもあり抽象絵画のようでもある、何でも無いと同時に何にでもなり得る、名付けられる(意味を与えられる)直前とでも言うべき不詳のイメージを作り出しているのです。

 中村奈緒子は、主に工芸や手芸の類い、特に習熟するだけでも時間を要する七宝焼や曲げ木細工など高度な難易度の工芸技術を作品のベースにしながら、その技術を応用し、オリジナルな方向へとオーバードライブしていく制作が非常にユニークな作家です。その制作過程において「作業に没頭する」事に特に重きが置かれ、その過度な集中状態が生みだす作品には狂気すら宿るようです。何度も繰り返す工程と所作、忘我あるいはプリミティヴな状態に近づいていく精神の中で生み出される作品は圧巻です。今回は、古代の壁画のような、或はただの壁のシミのような、ベニヤ板や発泡スチロールなどの3x6(サブロク)規格の素材から湧き起こるイメージを連鎖的に描き込むドローイングシリーズからの一断章を、独特のインスタレーションにして展観します。

 初紹介となる益永梢子は、絵画の在り方に常に深い関心を示す制作をしています。絵具というメディアについて、線描と色彩、色面の性質とその差異について、二次元と空間性の視覚的問題、描くという行為/動作がイメージに与える影響など、様々な問題提起とそれに対する独自の回答を作品上に示していくのです。今回展示する作品は、「線と色」について、?それぞれ性質を異にする線の種類、?画面を構成する色彩の数、この二点を意識的に制作したシリーズです。例えば、スケールを使って描く無機質な線、フリーハンドで描く有機的な線、色面の輪郭をなぞることによって得る、スケールを使った無機質な線とフリーハンドで描く有機的な線の中間にある線、色面を削るように引っ掻いて描く線、絵具を重力に任せてたらす事で生み出される線、マスキングテープを剥がした後に残る線に見える部分など、これらは全て「線」と認識されますが、それぞれ性質も経緯も全く異なっています。絵画を成立させる為の諸要素の内、特定の所作や要因を限定し、それを明示することを作品としています。

 今回ご紹介する四名の作家は、いずれも作品の成り立ちにおいて何かと何かを意識的に関係させています。それは大谷や中川の様にイメージに対して働くこともあれば、中村のように行為に特化される事もあり、益永のように理論的に向うこともあります。いずれも矛先は異なっていますが、それぞれの関係性から生まれる「連鎖反応」によって他に類を見ない作品を作り出しているのです。この反応の連鎖は、見る側である我々にも及んで既成概念を捨てよと迫ってくることでしょう。つきましては、本状をご覧の上展覧会をご高覧賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

敬具
2015年2月
児玉画廊 小林 健



記:

展覧会名:

イグノア・ユア・パースペクティブ30
「CHAIN REACTION」

出展作家: 大谷透 / 中川トラヲ / 中村奈緒子 / 益永梢子
会期: 5月30日(土)より7月4日(土)まで
営業時間: 11時-19時 日・月・祝休廊
オープニング: 5月30日(土)午後6時より


お問い合わせは下記まで

児玉画廊 | 東京
〒108-0072 東京都港区白金3-1-15
T: 03-5449-1559 F: 03-5421-7002
e-mail: info@KodamaGallery.com 
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