Kodama Gallery | Tennoz
「Polyfold Quirk」概要
伊阪 柊
普段は特定の場所に臨み、そこから得られた情報をもとに映像を制作するというフィールドワークのプロセスを取っていたが、その際には常に自分が予め何を持っているか、どう振る舞うのかなどの現在状況を把握しておく必要がある。それはどんなツールを所持しているか以外にも、隠された癖なども勿論その所持物に入る。これらはフィールドによって出現の仕方が変わるのだろうか。これらは意図的に選んで持って行くことはできるのだろうか。
そこを気にするのは、癖自体がフィールドにおいてどのような結末をもたらすのかという不安定要素を作り出しているからだ。
妙な癖は身体的に現れている場合もあれば思考や記憶想起のプロセス、認識方法の偏りなど、内側にある場合もある。もしくは複数の経験の予想外な組み合わせといった、結果のみが観測できて、そのプロセスを見ることができないものでもある。総じてこれらは事前に織り込まれていながら事後的にしか観測できないパフォーマティビティであり、妙な癖(Quirk)が多重に織り込まれた一形態(Polyfold)は、奇怪な運命(Quirk)を誘発する。
本展示では、その隠れた癖を複合させた仮主体である「脳天球」の経験と実験のプロセスと語りを提示する。