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児玉画廊|東京 野原健司  「逆さまDrop」

Press Release
拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
児玉画廊|東京 では11月7日(土)より12 月12日(土)まで、野原健司個展「逆さまDrop」を下記の通り開催する運びとなりました。
野原はこれまでも平面、立体、およびインスタレーション作品を制作してきましたが、常に使用される素材として古い雑誌や広告、布の端切れ、壊れた何かの機械部品、街中で拾った廃品など、すでにその用を終えたいわゆる不要品を作品に取り込んでいます。秘密基地を作ったり、自分達だけの物語りで遊ぶ子供達のように、野原にとっては、集めた様々な物の壊れ方一つ、汚れ方一つこそがイマジネーションを生む最大の魅力であり、それら小さなきっかけとの出会いを入口として野原の作品世界は広がっていきます。野原がライフワークとして制作し続けているドローイングブックはそうした世界観を凝縮したものと言えます。綴じきれないほどに積層し一分の隙もなく描き込まれたページのそれぞれは作家の激流のようなイマジネーションをとどめるアルバム的な意味合いだけでなく、ページを開くたびに幻想と奇想の世界が次々と開かれていくようです。何かの部品や布きれを樹脂でびっしりと癒着させた過剰な装丁や、はみ出した紙片やゴワゴワした貼付けの手触りなどのすべてが、尋常でない作家の想像力を物語っています。
ペインティングや立体作品においても同様に、作品がキャンバスの枠から溢れて続いているのではないかと思わせるような、あるいは上下左右に増殖し、はみ出そうとする動きを押さえきれない立体作品の造形のような、そうした生き物のように能動的で流動するイマジネーションが空間にジワジワと伝播し、やがて一つの空間を支配してしまいます。 今回発表される展覧会では、反復や反転、あるいは反射するイメージが空間全体にちりばめられています。物干竿を壁から壁へ跳ね返るようなジグザグで渡し、そこには雑多なものが吊るされ揺らめいています。突如として大きな足や手をイメージさせる造形物が浮かんでいたり、そうかと思えば床にはいくつもの鏡が水たまりのように配されて、吊るされ たオブジェや壁面のペインティングを写し取り、また、細い木材の骨組みでできた立体作品が鏡面を境に地上と地下とへ対象に伸びて行くような、そんな幻視的な光景に満ちた展示空間に身を置く内に、いつしか空間全体が自然の法則を無視して揺らぎ始めます。雨粒が落ちて水面の景色を揺らめかせるのとは逆に、野原は空間そのものを歪めてしまいたい のではないか、そう思わせる程にそこここに摂理に逆らうようにして存在する物体と空間のその不条理な関係性。この、展覧会タイトルにもある「逆さま」であること、それは鏡像のような、あるいは理に逆らうような現象を呼び起こすことであり、そうするべくして空間や次元を超越して延伸していくような造形を生み出し続けている野原自身の存在のス テートメントであるように思えます。

つきましては本状をご覧のうえ、展覧会をご高覧、ご宣伝を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。


記:

作家名: 野原健司 (Kenji Nohara)
展覧会名: 「逆さまDrop」
会期: 11月7日(土)より12月12日(土)まで
営業時間: 11時−7時 日・月・祝休廊
オープニング: 11月7日午後6時より



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