kodama Gallery
貴志 真生也

Press Release
拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
児玉画廊(京都)では12月3日より12月30日まで貴志真生也「挨拶&立ち上げ」を下記の通り開催する運びとなりました。

2009年の初個展「リトル・キャッスル」(児玉画廊, 京都)以来、昨年の個展「バクロニム」(児玉画廊|東京)、本年はアートフェアG-Tokyoでのインスタレーションや銀座メゾン・エルメスのショーウィンドーディスプレーなど精力的に発表を続け、その作品の持つ得体の知れない存在感は、なぜか妙に見るものの心を惹き付けてやみません。

貴志の作品は、インスタレーションおよび立体造形として制作されますが、それらは「見たことがない」と困惑する奇妙な造形をしています。しかしながら、作品を形作っている構造そのものはシンプルな素材を合理的に使用し、見た目にも機能的にも整合性が取れているように思え、そこには何か見抜くべき意図が、確信犯的に隠されているような気配を感じさせます。貴志の作品を前に、まず全体像からは真意を汲み取ることが出来ないがために、なんとか解釈の手がかりを得ようとその造作や構成へと意識が誘導されていきます。しかし、どれだけ細部に目を遣っても、仕組みと構造に対する工夫や独創的な組み合わせに驚きこそすれ、一向に作品について得心するための手がかりを得ることはできません。そこでふと疑念がよぎります。『「見たことがない」という印象以上に求めているものは無い』のではないか。仮にそうだとするならば、貴志は一体何をもって作品としているというのでしょうか。

展覧会タイトルにある「挨拶」の本質が行為そのものよりもそれを交わす相手との人間関係を「立ち上げ」るためのものであるように、作品を「立ち上げ」る行為、「メインの前の準備状態 」と貴志は説明していますが、制作の過程や背景、作品が完成に至るまでの状況を、作品の構造や表情そのものとして敢えて目に見える形で残していくことで、作業の結果としての作品だけではなく、強いて言うなら制作そのもののドキュメント、という側面を与えています。「敢えて」と言いますが、それは、単純に痕跡を残すというだけではなく、ドリル穴一つ、ボルトとナットの組み合わせ一つを、見るものの目に留まるように設え、なぜそのようにして使われているのかと疑念を抱かせ、困惑させることによって、作品が完成していくまでの雰囲気までをも想起させ伝えようとしているからに他なりません。「作られた物体が、何であり、何を意味しているかは重要ではない。」貴志が言い放つこの言葉が全てを集約しているように思えます。

作品として「意味を持たない」という矛盾を前提に制作をしているが故に、貴志自身もその都度制作の過程において、それまでと全く違う要素を中核に据えて制作方法を制限することで、逆に自身の持つ既成概念や執着を振り払い、そこからまた得体の知れない新しい何かを生み出そうとしています。今回の個展ではドローイングという、これまで作品の設計図すらまともになかった貴志にとっては、意外な要素がインスタレーションの重要な基点となっています。キャンバス地に描いたドローイングをブルーシートと縫い合わせてタペストリー状にした作品、スポンジ状のチューブが壁面を這いうねるようなインスタレーション、空間の要所にポイントを建てるように配された造形物など、個々の作品が有意無為すらも判然としないままに干渉し合って空間を構成しています。

つきましては本状をご覧のうえ、展覧会をご高覧、ご宣伝を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。


敬具
2011年12月
児玉画廊 小林 健



記:

作家名: 貴志真生也(Maoya Kishi)
展覧会名: 挨拶&立ち上げ
会期: 12月3日(土)より12月30日(土)まで
営業時間: 11時‐19時 日・月・祝休廊
レセプション: 12月3日午後6時より


お問い合わせは下記まで

児玉画廊  |  京都
〒601-8025 京都市南区東九条柳下町67-2
T: 075-693-4075 F: 075-693-4076
e-mail: info@KodamaGallery.com 
URL: www.KodamaGallery.com

アクセスマップ:http://www.kodamagallery.com/map.pdf


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