拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
児玉画廊(京都)では、9月5日より10月10日まで児玉画廊コレクション-イグノア・ユア・パースペクティブ 8 を下記の通り開催する運びとなりました。児玉画廊ならではの視点で斬り取る作品の個性や展覧会構成をお楽しみ頂く為、イグノア・ユア・パースペクティブと題したコレクション展を2005年より断続的に開催しております。前回のイグノア・ユア・パースペクティブ7では抽象表現についての新たな動向を示す、という趣旨で構成致しましたが、今回のキーワ
ードは「変換主義」です。
鷹取雅一は蛍光色や鮮やかな色を使い、切り絵や影絵のようなシルエットと組み合わせて奇怪な遠近感を作り出しています。野原健司はコラージュ的な技法で雑多な素材を何かに見立てるように平面や立体へと再構築していきます。関口正浩は油絵の具を極めて薄い皮膜の状態にするという有機的な現象と、それを一連の身体的な運動によってキャンバスに貼付けるという行為のに興じています。貴志真生也は今回の立体作品においては「におい」のイメージを色や形に変え、その視覚化を試みています。中川トラヲは塗り重ねられた色彩により偶然的に画面構成し、坂川守はモチーフを著しく抽象化することで本来の色彩と形の密接な関係を遊離させます。また、今秋から来年にかけてのKodama Gallery Projectにおいて、満を持して順次個展開催が決まっている阿波野由起夫、西森瑛一、梶原航平については、各々の展覧会を見据えたプレビューとして新作、近作、いずれも力作を紹介致します。
連想ゲームの始めと終わりを示された時のように、イメージの変換のプロセスについて説明がない、見る側からすれば相当に不親切であろう作品のラインナップ。
しかし、であるからこそ、作品が作られる上で何がどのようにして今眼前にあるように表現され得たのか、そこに思いを巡らせるのも一興です。
同時開催となるKodama Gallery Project 19 三家俊彦「still river」では、これまで作品としての発表歴のないアルミフォイルで作る騎士の大群と、ステンレス
板を加工して制作した絵画作品による大規模なインスタレーションを展観致します。
つきましては本状をご覧のうえ、展覧会をご高覧、ご宣伝を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
2009年9月
児玉画廊 小林 健