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ignore your perspective 37

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関係各位

拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
 児玉画廊|天王洲では、7月1日より8月12日までignore your perspective 37「立体 ⇄ 平面 ⇄ 空間」を下記の通り開催する運びとなりました。初紹介となる緒方ふみ、永井綾音、さらに天王洲のオープニング展でのハードコアなグループショーも記憶に新しい貴志真生也、関口正浩、和田真由子を組み合わせ、「立体 ⇄ 平面 ⇄ 空間」を巡る作品の在り方を探る展覧会となります。
 美術には彫刻や絵画、インスタレーションといった便宜的な分類と、その枠組みに従ったフォーマットや方法論が存在し、常にそれを共通言語とすることで美術の何たるかは議論されます。しかしながら、往々にしてフォーマットに収まるものばかりでないのは世の常であり、まして独創性が優位とされる美術の世界において、より面白く、より先鋭的であることと、フォーマリズムは相反するといっても過言ではありません。むしろ、たとえ既存の何かを壊すことになったとしても、そこに目指す真理が存在するならば、新しい理論やフォーマットを生み出していくことこそが現代のアーティストの背負った役割であるしょう。今回紹介する5名には、少なからずその素養があるものと思われます。

緒方ふみ (1990年、熊本生まれ)
絵画とも彫刻とも、インスタレーションとも捉えられる曖昧な、或は、多義性のある作品を制作しています。一見、制作途中のような様々な要素が点在するように展示され、それらがある日常のアトリエ風景であると言われても違和感のない程に空間と混ざり合うそれは、インスタレーションというよりもあまりに事象化され過ぎており、構成要素としての個別の作品それぞれの決まった関係性や構成の明確な意義も留保されているように思えます。しかし、その留保されている状態は、今回の展覧会のコンセプトに恐らく最も近接するものでしょう。イメージやフォーマットに固着するのではなく、その間に対流を起こすように存在する作品です。

貴志真生也(1984年、大阪生まれ)
彫刻を標榜しつつも、既存の全てを否定(批判)し、まさに彫刻「らしさ」から離れさていくことで作家自身も見たことのない彫刻作品を作り出しています。素材の選定も、極力従来の彫刻的なオーソドックスを除外し、規格品や工業部材などの既に一段階手の入ったものを素材として、独自のルールと法則性によって組み立てていきます。いわゆる「量塊(マッス)」は無く、骨と皮、ヴォリュームではなくスケールのみが存在する、といった様相は、知らないうちに既成概念で凝り固まった我々に「立体」というものの在り方を今一度問いかけてきます。

関口正浩 (1883年、東京生まれ)
油彩を膜として取り扱うことで、キャンバスに徐々に塗り重ねて行く従来の絵画とは全く異なるプロセスの絵画作品を作り続けています。膜というアプローチによって、コラージュやテキスタイルにしか実現し得なかったはずの明瞭に個別化されたレイヤーを、あくまで"Oil on Canvas"として提示してみせます。これは従来の考え方からすれば、絵画の範疇を超えてしまっているのかもしれません。かつて老齢のマチスが切り絵によってかの美しい「ブルー・ヌード」を制作したように、関口は色彩の膜をもって、筆に依らぬ油彩画としています。究極的にはキャンバスすら放棄して、絵画をその絵画面のみに依って自立させるべく、まずは絵具を膜として自立させるという過程にあるのです。この先には、おそらく関口にしか到達し得ない唯一にして無二の新しい絵画が見られることでしょう。

永井綾音 (1994年、神奈川生まれ)*初紹介
紙面に描いたドローイングを木彫にコンバートし、その両者を似て非なる、しかし同一のものとして提示します。例えば、まず水鳥の柄を黄色を背景に描くとします。水鳥は羽を休め、首を自らの羽毛に丸く埋めています。その様子を描くことはさして難しいことではないでしょう。しかし、ではそのドローイングを元に彫刻を作る、となると話は変わります。水鳥そのものを、ではなく、水鳥の絵画を、平面を彫刻にせねばなりません。すると、まず黄色い背景は黄色く四角い台座へと置き換えられます。そしてその台座の上には、取りあえず描かれている様子と同じような楕円形に丸まった水鳥らしい塊が置かれることになります。しかし、絵画の線や色面を彫刻にするということは、例えば輪廓線は木に彫り起こそうとした時に問題に突き当たります。平面上の線に厚みや側面は存在しないからです。また、描かれていない裏側の様子や、彫刻として必要な奥行き方向については、無理矢理想像していく他ありません。単に平面と立体のパースや性質の違い以上に、そもそも両者が全く異なる次元の全く異なる存在であることの齟齬をぎこちなくも併存させるのです。

和田真由子 (1883年、大阪生まれ)
「イメージ」の表出という点において、平面(絵画)であることと、立体(彫刻)であることの双方について、最も歪みのない思考を巡らせている作家の一人であると断言できます。和田にとって、作品が絵画か彫刻かといった従来のフォーマットは全て規範以外の意味を成しておらず、「イメージにボディを与える」行為こそが美術制作である、と独自に定義づけています。その大前提において、「イメージ」(作家が頭の中でみる情景や物の様子)をに「ボディを与える」(物質的に形に置き換える)、ということは、つまり、想像をそのまま現実に持ってくる(無理矢理にでも)、ということを意味します。曖昧にしか想像できない物は透明ビニールや透明のメディウムなどの曖昧な素材を使って、明瞭なイメージにはシャープな輪郭や物質的にも固いものを使うなどして、イメージの存在感と作品の存在感が比例するように具体化していきます。結果として、描かれていることすら判然としないような非常に曖昧な平面作品になることもあれば、ソリッドだけれども有得ない状態の立体作品になったり、ということが生じます。そして、それを作家は主に絵画と呼称するのです。

 作品の在り方は様々あれど、表現がフォーマットに従うことになっては本末転倒であり、その追求は様式美や機能美を佳しとする工芸や職工の世界に優位があります。和田の言葉を借りれば、作品を制作するために必要とされるキャンバスや塑像台はイメージを置くための台座のようなものであって、その用に適いさえすれば何だって良く、決して義務的なものではない、のです。展覧会タイトル「立体 ⇄ 平面 ⇄ 空間」を意図的に双方向の記号で繋ぎ、円環を成すように示していますが、ひょっとしてそれらの境界線は本来戦ではなく曖昧に混ざり合うものなのではないか、ではそれらを繋ぐミッシングリンクはどのような物か、これはその探求についての一つの提言です。
 つきましては本状をご覧の上展覧会をご高覧賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

敬具
2017年6月
児玉画廊 小林 健



記:

展覧会名:

イグノア・ユア・パースペクティブ37「立体 ⇄ 平面 ⇄ 空間」

出展作家:

緒方ふみ / 貴志真生也 / 関口正浩 / 永井綾音 / 和田真由子

会期: 7月1日(土)より8月12日(土)まで
営業時間: 11時-18時 / 金曜日のみ11時-20時 日・月・祝休廊
オープニング: 7月1日(土)午後6時より


お問い合わせは下記まで

児玉画廊|天王洲
〒140-0002 東京都品川区東品川1-3-10 TERRADA Art Complex 3F
T: 03-6433-1563 F: 03-6433-1548
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